メディカルラボ通信
2022年3月号『医学部を目指すための学習アドバイス~英語編~』
2022.3.22 Updated
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22年度入試も終わり,次年度入試に向けての準備を始める時期となりました。
今回はメディカルラボの英語講師の国定誠先生に,22年度入試の傾向を分析していただくとともに,医学部を目指す上で必要な英語学習のポイントについてアドバイスをいただきました。
今回はメディカルラボの英語講師の国定誠先生に,22年度入試の傾向を分析していただくとともに,医学部を目指す上で必要な英語学習のポイントについてアドバイスをいただきました。
CONTENTS
大学入学共通テストの英語について
21年度に初めての大学入学共通テスト(以下,共通テスト)が実施され,今回が2回目の共通テストでしたが,読解量が微増し,設問が易化した以外は大きな変更はありませんでした。数学や理科では大幅に平均点が下がった科目もありましたが,英語に関しては21年度の形式を基にした模擬問題での練習が本番で生かされたこともあり,平均点はリーディングが58.80点から61.80点へ,リスニングが56.16点から59.14点へとそれぞれ上昇しました。
「知識・技能」に加えて「思考力・判断力・表現力」を問うことを目的とした共通テストは,「知識・技能」を軽視し過ぎた結果,勉強としての「英語」から手段としての「英語」へと移行してしまいました。そのため,英語学習の土台となる語彙・文法・英文解釈に対する受験生の意識の低さが散見されましたが,そのような受験生でもある程度点数が取ることができるテストになってしまいました。
もちろん,知識より運用能力が重視されることは当初の目的通りですが,日常的に英語を使用する頻度や英語に対する興味の度合いといった学問とは直接関係のない要素が得点を左右することは,経済的格差や地域格差といった観点からも好ましいとは言えません。テストのために勉強するという現実からすれば,共通テストでも土台となる語彙・文法・英文解釈について問うような問題が増えれば,受験生もよりこれらを意識して勉強するようになるのではないでしょうか。
国公立医学部の個別学力試験の英語について
英語の運用能力を重視する共通テストとは異なり,国公立医学部の個別学力試験では「表現力・思考力・知識」が問われます。ある意味,共通テストでは調べきれなかった側面を補うテストであると言えます。そもそも大学入試の問題は,受験生が講義,議論,研究,論文作成など,大学入学後に必要な活動を行う上で十分な能力を有するか調べるものです。そのため,個別学力試験では読解問題は論説文,英作文問題は自由英作文中心の出題になっています。しかしこの傾向はセンター試験の時代からあるもので,共通テストの導入に伴って変化したものではありません。ただ共通テストが日常的な話題についての読解問題中心の出題であるため,受験生にとって学術論文の読解や,文法を意識しながら書く必要がある自由英作文は,センター試験が実施されていた時代よりも難しく感じられるかもしれません。
多くの国公立大の英語は他学部との共通問題であるため,長文のテーマは医療科学系だけではなく,人文系や社会系の英文も取り上げられます。しかし,単科医科大となると話は別です。たとえば浜松医科大では「コロナ禍における遠隔医療」に関する医療系の長文が出題されました。
文法に関しては,読解問題の一部で前置詞や動詞の空所補充また語句整序が問われることはありますが,私立医学部などで頻出の「短文空所補充形式で文法知識のみ問われる設問」はほぼ出題されません。しかし,自由英作文などでは文法の間違いが減点対象となるため,正確な文法の知識は不可欠です。その一方で,語彙の重要性は高まっています。空所補充や同意語選択で語彙力が問われていますが,ただ単に多くの意味を知っていればよいというわけではなく,各品詞の語法やコロケーションの知識がないと正解できないものや,知識よりも文脈判断を優先するものがあるため注意が必要です。