メディカルラボ通信
医学部の推薦入試に合格するためには?受かる人の特徴を解説!
※2020年度より一般入試は「一般選抜」、推薦入試は「学校推薦型選抜」「総合型選抜」に名称が変更されましたが、本記事では「一般入試」「推薦入試」と表記しています。
医学部を目指す受験生にとって、推薦入試は一般入試とは異なるアプローチで合格を目指せる貴重な選択肢です。推薦入試で合格するためには、学業成績だけでなく人物像や面接力、表現力など多角的な準備が必要になります。本記事では、医学部の推薦入試の特徴や対策、合格者の共通点などを詳しく解説します。医師の道を歩もうとする皆さんの参考になれば幸いです。
CONTENTS
医学部推薦入試の概要
医学部の推薦入試は、学力だけでなく人物像や意欲、将来性などを総合的に評価する選抜方法です。一般入試と比べて競争率が低い場合もありますが、求められる条件は厳しく、準備には早めの取り組みが必要です。推薦入試には複数の種類があり、大学によって選考方法や基準が異なるため、志望校の情報を正確に把握することが重要になります。
医学部推薦入試の種類
2020年度、文部科学省による入試区分の改訂に伴い、推薦入試は「学校推薦型選抜」、AO入試は「総合型選抜」という名称に変更されました。推薦入試の種類として、公募枠推薦、地域枠推薦、指定校推薦などがあります。そのほか、卒業生子女枠、国際バカロレア推薦という推薦入試を設けている大学もあります。
公募枠推薦
大学の出願条件と高校の推薦基準を満たしていれば、どの高校からでも受験可能な推薦入試です。国公立大学・私立大学のいずれの医学部でも実施されています。また、現役生だけでなく浪人生も受験可能な大学もあります。
地域枠推薦
地域枠とは、地域医療を支える医師を確保するために医学部生を募集する入試区分です。出願条件は厳しいですが、一般入試よりもボーダーラインが低かったり、奨学金や修学資金を受けられたりといったメリットがあります。しかし、地域枠で進学する場合、一定期間特定の地域や指定の医療機関で勤務することが義務付けられているため、地域枠を利用する場合は注意しましょう。
地域枠については以下の記事で詳しく解説しているので、よろしければご一読ください。
医学部の地域枠とは?メリットやデメリット、地域枠のある大学も詳しく紹介
指定校推薦
大学が特定の高校に推薦枠を与え、その高校から選ばれた生徒を選考する制度です。一部の私立大学医学部で実施されており、志願者倍率が低いことが特徴です。ただし、校内での希望者が多い場合は、大学による選考だけでなく校内選考に合格する必要があります。
総合型選抜(旧AO入試)
総合型選抜は、学びへの意欲や大学への適性を重視して選考する入試です。学校長の推薦は不要ですが、「自己推薦書」によって自分をアピールすることが求められます。
医学部推薦入試の選抜方法
推薦入試では以下の試験をもとに、学力や意欲、人間性などを多面的に評価します。
・書類審査:調査書、推薦書、志望理由書など、面接前に提出する書類
・学力試験:数学、理科(物理・化学・生物)、英語などの学力検査
・面接試験:人柄や思考力、コミュニケーション能力などを評価する試験
・小論文試験:時間内に課されたテーマについての小論文を作成する試験
医学部の推薦入試では、学力試験と面接試験が国公立・私立を問わず課されます。また、小論文試験も多くの大学で実施されます。学科試験はもちろん、面接・小論文試験も医療従事者としての適性を見るために多岐にわたる内容が出題されるので、十分な対策が必要になります。
医学部推薦入試のメリット・デメリット
医学部推薦入試は、一般入試とは選考方法が異なるだけでなく、いくつかのメリット・デメリットが存在します。
メリット
① 現役生にとって負担軽減になる
一般入試に比べ、試験科目数が少ない場合や出題範囲が軽減されるケースがあり、学科試験の負担は低くなる傾向があります。また、一般入試より早い時期に合格が決まる可能性が高いのも特徴です。
② 医学部合格のチャンスを増やせる
推薦入試は一般入試とは別枠の受験であるため、出願条件を満たしている人は受験機会を増やすことができ、医学部合格の大きなチャンスとなります。また、一般入試よりも倍率が低い傾向にあるのも特徴です。
③ 学習成績不問の場合がある
学校推薦型・総合型選抜では一定以上の学習成績を求められる大学が多いですが、なかには成績不問の大学もあります。
デメリット
① 出願条件が厳しい
推薦入試には出願条件が設けられており、評定平均が一定の基準を満たしていなければ受験できません。出願条件を満たしている人には大きなアドバンテージになりますが、出願のハードルは決して低くないことを意識しておきましょう。
② 推薦入試で合格した大学は辞退できない
推薦入試で合格した場合は、原則「入学を辞退できない」という制約が設けられています。また、ほとんどの大学が専願制であり、大学や入試形式によってはほかの大学との併願ができない場合もあります。そのため、推薦入試における志望校は条件をよく確認したうえで慎重に選びましょう。
国公立大学と私立大学の医学部推薦入試の違い
国公立大学と私立大学では、推薦入試の形式や試験内容が大きく異なります。細かな入試形式は大学ごとに傾向がありますが、ここでは大まかな特徴を紹介します。
国公立大学
・ほとんどが公募枠推薦
・高い評定平均が求められる(下記「評定平均」の項目を参照)
・大学入試共通テストの得点を合否基準の一つとしていることが多い
・地域枠や特定の人材育成を目的とした推薦枠が設けられている
私立大学
・公募枠推薦、総合型選抜、指定校推薦など推薦の種類が多い
・国公立大学と比べると求められる評定平均はやや低い
・大学独自の学力試験の結果を合否基準の一つとしていることが多い
・試験のタイミングが早い大学が多く、年内に進学先が決まる可能性がある
※入試内容は大学によって異なりますので、詳細は各大学の入試要項をご確認ください。
医学部推薦入試に受かるためのポイント
医学部の推薦入試に合格するためには、高い学力はもちろん、将来医師として社会に貢献できる人物かどうかや、大学が提示している「求める学生像(アドミッション・ポリシー)」に合致しているかどうかが重要です。成績面では評定平均が重要な指標となり、課外活動での実績も面接試験でのアピールポイントとなります。面接試験や小論文試験では医学への適性や熱意が問われるため、総合的な準備が必要でしょう。
学力試験
医学部の推薦入試では、大学入学共通テストや各大学から課される学力試験によって、受験生の高い基礎学力が問われます。
以下は、医学部推薦入試における学力試験の概要です。
・学力試験で一定以上の得点を取ることを合格の最低条件としている大学が多い
・国公立大学では、大学入学共通テストや独自の学力試験の結果を重視
・私立大学では、独自の学力試験が課される
医学部受験では一定ラインの学力があることが最低条件となっており、面接や小論文試験で良い結果を残せたとしても、学力試験の結果が十分でなければ合格することは難しいでしょう。また、大学によっては推薦入試の過去問を公開しておらず、出題傾向の把握と対策が難しい場合もあるため、問題に解答できるよう、各科目の基礎内容をきちんと理解しておく必要があります。
求められる人物像
医学部推薦入試では、将来優れた医師となる資質を持った学生が求められています。具体的には以下のような特性が評価されます。
・高い倫理観と使命感を持っている
・困難に立ち向かう忍耐力がある
・コミュニケーション能力が高い
・主体的に学ぶ姿勢
特に医学部では、患者と向き合うための人間性や協調性も重視されます。面接試験では自分の言葉で医師を目指す理由や将来のビジョンを語ることが大切です。また、多くの大学は医療に対する問題意識や社会貢献への意欲を持った学生を求めています。
評定平均
医学部の推薦入試では、高校での成績も重要になります。特に国公立大学では評定平均4.3以上を求められることが一般的です。
求められる評定平均の具体的な目安は以下の通りです。
・国公立大学:4.3以上
・私立大学:3.5〜4.3以上
特に数学、理科(物理・化学・生物)、英語の成績が重視されるため、これらの教科で高い評価を維持することが重要です。ただし、大学によって基準は異なるため、志望校の募集要項を確認しましょう。
面接試験
医学部推薦入試の面接試験では、医師としての適性が問われます。面接形式は大学によって異なりますが、以下の4つが一般的です。
・個人面接:受験生1人と面接官による面接。多くの大学で導入されている面接形式であり、ほかの受験生はいないため、最も自分をアピールしやすい
・集団面接(グループ面接):複数の受験生と面接官による面接。1人当たりの面接時間が少なく、他の受験生と比較されやすい
・集団討論(グループ討論):4人~6人ほどのグループで、課されたテーマについてディスカッションを行う面接。協調性や積極性、コミュニケーション能力などが審査される
・MMI方式(multiple mini interview):特定のテーマに関する個人面接を複数回行う面接。1回の面接ごとに面接官やテーマが変わり、思考力や判断力が問われる
面接形式によって注意すべきポイントは異なりますが、いずれの面接形式でも以下のような対策が重要になります。
・自己分析や志望大学の情報収集を徹底する
・想定質問に対する回答を準備する
・模擬面接で実践練習を重ねる
特に「医師を志望する理由」「将来どのような医師になりたいか」といった質問には、具体的なエピソードを交えて答えられるようにしておきましょう。また、時事問題や医療倫理に関して質問されることもあるため、ニュースに日頃から関心を持つことが大切です。面接では態度や話し方も評価されるため、姿勢や目線、声のトーンなども意識して練習を重ねましょう。家族や学校・予備校の先生に協力してもらい、実際の面接さながらの環境で練習することも効果的です。
医学部の面接については下記の記事で詳しく解説しているので、こちらもご覧ください。
医学部の面接でよく聞かれる質問とは?対策方法やポイントも解説
小論文試験
医学部推薦入試の小論文試験では、論理的思考力と医療への問題意識が問われます。文字数は600字~800字、試験時間は60分~80分であることが多いです。試験に備えて以下の対策を取り組みましょう。
・医療や生命倫理に関するニュースについてアンテナを貼る
・小論文の基本的な構成を理解し、論理的思考力と表現力を磨く
・医学部の小論文試験で頻出されるテーマについて、自分の考えをまとめておく
・志望大学の過去問に挑戦する
小論文のテーマは「医療における課題」「生命倫理」「地域医療」に関するものなどが出題されます。日頃から新聞の医療欄などに目を通し、自分の考えをまとめる習慣をつけましょう。
構成としては「序論→本論→結論」の流れを意識し、論理的に展開することが重要です。大学によってテーマや出題形式に傾向があることも多いので、志望大学の過去問を確認しておきましょう。なお、近年は「医師不足」や「先端医療」などが出題傾向にあるため、一度はこれらのテーマについて小論文作成に取り組んでみましょう。
課外活動での実績
医学部推薦入試では学業以外の活動実績も評価点となり、実績があると面接試験や志望理由書でのアピールポイントとして活用できます。
以下は課外活動実績の一例です。
・科学研究や発表会での実績
・ボランティア活動
・リーダーシップを発揮した経験
たとえば、理数系のコンテストでの受賞歴や、病院や福祉施設でのボランティア経験、部活動や生徒会活動でのリーダー経験などは、医学への関心や社会性の高さを示す材料となります。ただし、活動の「質」が問われるため単に参加するだけでなく、そこから何を学び、どう成長したかを面接試験や志望理由書などで示すことが大切です。
医学部推薦入試に受かる人の共通点
医学部推薦入試に合格した先輩たちには、いくつかの共通する特徴があります。主な共通点は以下の通りです。
・中学生や高1生など早い時期から計画的に高い評定を維持している
・「医師になりたい」という強い意志を持って行動している
・明確な志望理由と将来のビジョンを持っている
・入試に関する情報収集など、受験を見据えた準備や対策ができている
医学部推薦入試では高校の成績も重要なため、早期から計画的に学習し、特に評定に直結する定期テストでは高得点を維持する生徒が多いです。日々の学校の授業を大切にしながらも、早い段階から医学部入試を見据えた学習計画を立てていることも特徴です。
また、医師を目指す理由を明確にし、面接試験に向けて自分の言葉で熱意を伝えられるよう準備を重ねていたという声が多く聞かれます。
医学部推薦入試に向けて今からできること
医学部推薦入試に合格するためには、早い段階からの計画的な準備が不可欠です。高校入学直後から、志望大学の出願条件をチェックしながら、評定平均を維持するための学習習慣を身につけるようにしましょう。また、ボランティア活動の経験などの「協働性」に関わる活動も、大学からの評価につながるかもしれません。「どんな医学生や医師になりたいか」というはっきりとしたビジョンを持ち、それを自分の言葉で表現できるように準備することも重要です。
医学部推薦入試合格に向けて、今からできることは以下の通りです。
・学業成績の向上と維持:定期テストや模試を中心に好成績を維持し、受験に向けた基礎学力を培う
・人や地域社会と関わる活動経験を積む:部活動やボランティア活動、研究活動などに参加して、医師に必要な社会性や協働性、コミュニケーション能力を磨く
・各大学の情報収集:医学部の学習内容や入試情報、先輩の声などを確認する
志望校の入試情報を定期的にチェックし、求められる人物像や評価基準を理解しておくことも大切です。オープンキャンパスに参加するといった、志望大学に関する情報を調べることでその大学での学生生活をイメージでき、受験勉強のモチベーションにもつながるでしょう。
塾や予備校の活用
医学部推薦入試対策の一つとして、専門の塾や予備校を活用することも効果的です。プロの講師に指導してもらうことで、効率的に学力を向上することができます。また、推薦入試は過去の問題を開示していない大学も多いので対策が難しいですが、塾や予備校ではその大学に受験した先輩がレポートや合格体験記を残している場合があり、それらは推薦入試対策の心強い助けとなるでしょう。
塾や予備校選びでは、以下の点に注目すると良いでしょう。
・医学部推薦入試の対策に特化したカリキュラムの有無
・指導スタイル(個別か集団か)
・過去の合格実績
医学部専門の予備校では、推薦入試に特化した対策を提供していることが多く、小論文や面接試験の指導も充実しています。また、個別指導と集団授業のどちらが自分に合っているかを考慮して選ぶことも大切です。
さいごに
医学部推薦入試と一般入試では受験形式や受験時期、求められる人物像などが異なり、一般入試とは異なる対策が必要になります。しかし、医学部推薦入試は過去問を非公開としている大学も少なくなく、学科はもちろん、面接や小論文などの対策も一人では難しいかもしれません。
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